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e3グリップの効果


e3 Fitness Grip



信じられますか?

ある日ランニングをしているとき、すれ違ったランナーが、まるでスキーか登山用のストックの握り手だけのようなものを両手に握っているのに気づきました。

そのときはあまり気に留めていなかったのですが、最近になってそれがe3グリップなるモノだったことを知り、ネットで調べてみました。





Biogrip, Inc (e3 Fitness Grip) へのリンク


はじめは自分で試してみるつもりで、つまりはショッピング目的で価格を調べようとググっていたのですが、本家発売元BioGrip社のものらしき紹介ビデオを発見。さらに他の英語サイトの検索結果にも目を通すうち、次のブログ記事が目に留まりました。


Better Biomechanics with e3 Fitness Grip?
e3フィットネス・グリップで、より良いバイオメカニクスが実現するか?


『Sac(訳注:サクラメントのことか?)のオリンピック選考会ブースで、スティーブ(訳注:e3グリップ考案者のスティーブン・タマリブチ氏のこと)に出会いました。彼の説明によれば、ランニング(やその他の運動)の下肢における "より良いバイオメカニクス" の鍵は、親指の位置にあるそうです。彼は、グリップを握った場合とグリップ無しの場合の筋力テストを行い、グリップを握ったときのほうが、より強力な反応が得られたのです。』

もし彼が手を使って被験者の手足に対する抵抗を与えるといった、手押しの("運動学を適用した")テストを採用したのであれば、そのテストは信頼性が低く非常にいかがわしいと言わざるを得ず、プラシーボ効果の疑いが極めて濃厚であろう。たとえ、より強力なテストが行われた場合であっても、その結果がグリップによる運動パフォーマンスの向上を証明するわけではない。ある程度信頼に足るような基準を彼が提示していたなら、その親指位置理論も、もう少し信用できたかもしれない。走ることに関わり、なおかつ親指の向きを変えることができないようなスポーツ、たとえば、フットボールやテニス・ラケット、フィールド・ホッケー・スティック、クリケットのバットのような用具なり対象物を握るスポーツについて、彼の理論はどう説明するのだろうか?

『彼はランナーのビデオも撮っています。そのビデオでは、同じひとりのランナーがグリップを握ったときと握っていないときの正面からの走行パターンの違いを、並べて比較することができます。グリップを握っているほうは、横方向への手足のぶれが小さくなっています。このビデオは、グリップを買うと付いてきます。』

いわゆる「目測」や視覚による主観的な分析は、あまり信頼できるとは言えない。ひとつの平面における動きを捉えた1台のカメラだけが使われている場合は、なおさらだ。ランニングについて多少なりとも正確な分析結果を導き出すためには、少なくとも2台のカメラが必要になる。

『とくに理由は無かったけれどe3グリップを買ってみたら、ランニングの際に脚(下のほう)の痛みが明らかに和らぐことに気づきました。e3グリップが、なぜ、どのように効くのかは、気にしていません。かりに万一、プラシーボだとしても。(そうじゃないと私は思いますが。) とにかく私にはe3グリップが、よく効きます。』

かれこれ40年以上も前のことになるが、私がトラック競技とクロスカントリーの選手だったとき、ある友人が私のために、これによく似たグリップを作ってくれたことがある。(なぜかというと、それらは1950年代にかなりの人気があったのだ。) 私は数年間それを使ってみたのだが、正直なところ、幾多のテストの結果からはパフォーマンス、スキルや快適さに、いかなる差異も見出すことができなかった。プラシーボやその他無関係な効果を排除するいろいろな器具を使った(そして何も使わない場合も含めた)科学的な研究の成果があるなら、是非見てみたいものだ。また、何かを握って緊張が増すことには、気を紛らわせるという効果もあり、その結果、身体のどこか他の部分の痛みが和らぐように感じられるということも、忘れてはならない。中国には、こんなことわざがあるぐらいだ。「右足が痛むときは、左足に包帯をせよ。」 すなわち、この効果は少なくとも数百年も前から知られているのである。

原文:Mel Siff Blog - Supertraining, May 16, 2009



上記ブログの筆者が最後に触れているような "プラシーボやその他無関係な効果を排除" した科学的研究の成果も、いくつか発表されているようです。


Effect of the E3 Fitness Grips on Running Economy
ランニング効率におけるE3フィットネス・グリップの効果


内容:複数の被験者をグリップを使うグループと使わないグループに分け、一定の条件でトレッドミルを走ってもらい、VO2と心拍数を比較観察した研究。

結論:少なくともVO2と心拍数によって計測した限りにおいて、これらの所見はE3フィットネス・グリップがランニング効率に対して何ら明確な影響を及ぼさないことを示唆している。

著者:Parr, Brian; Szabo, Julie; Gordon, Jon; Wood-Woeber, Kim FACSM,
University of South Carolina Aiken, Aiken, SC.

出典:Medicine & Science in Sports & Excercize



もうひとつ。


Motion Analysis of e-3 Fitness Grips Used When Running
ランニングにおけるe3フィットネス・グリップ使用時の動作分析


内容:ファンランから競技者まで複数の被験者の協力を得て、事前に一定の距離(毎週6マイル)を継続的に走ってもらったうえで、3Dモーション・キャプチャ・システムで肩部に付けたマーカーにより骨格の偏差を計測し、グリップの効果を評価した研究。

結論:グリップ無し及び偽グリップでランニングを行った場合と比較して、e3フィットネス・グリップがアラインメント(整列、整体)やランニング・バイオメカニクスに目立った変化をもたらすことは無いようである。

著者:Lewis, Clare; Hreljac, Alan; Williams, Brent; Summers, Scott; Vojkufka, Jason,
California State University Sacramento, Sacramento, CA.

出典:Medicine & Science in Sports & Excercize



論文要約を見る限り、いずれもネガティブな(インチキを暴いてやろう!といった)先入観から研究が始まったわけではないことが伺えます。(そもそもアカデミックな研究である以上、先入観などのバイアスは当然排除することが前提なのですが。)

たとえば後者は、研究の背景として、年間に50~87%のランナーが何らかの怪我をすると報告されていることを指摘し、怪我を防止するためにバイオメカニクスを向上させるような器具が望まれている、と記しています。e3グリップは肩やヒップを安定させることでニュートラルなポジションをもたらし、その結果として筋肉の効率的な利用を促す、という謳い文句で販売されているため研究対象にしたと書かれています。

米国でも日本でも、おおよそ3,500円ほどで手に入るe3グリップ。もし本当に効果があるのなら高い買い物ではないと思うのですが・・・残念なコメントも多いですね。

結局のところ、効果を信じてグリップを握ったときのプラシーボ効果こそが、この商品の一番のメリットなのかもしれません。





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